コラム
どんな視点で見れば「自分に合う仕事や職場」が見つかるのか、初めての企業選びは本当に悩むところでしょう。求人情報サイトを開いて目に飛び込むのは、どうしても「誰もが知る企業名」や「企業規模」になりがちです。そこで是非大いに活用して欲しいのが今回の東京都のプロジェクト「きづく就業体験」なのです。この章では、対面型で社内に入ってこそ見えてくる「企業選びのポイント」を解説していきましょう。
■「企業選びの軸」を整えるために
まず大前提として知っておきたいのは、企業規模による会社の仕組みの違いです。例えば皆さんがよく耳にする「人事部」ですが、中小企業では独立した部署としては作られていない場合も多いのです。窓口となる採用担当者の多くは総務課や現場の管理職の方々、従ってその採用視点は「職種適性があるか・育てられるか」など、実際の現場目線での基準となります。ですからインターンシップで学生の皆さんを受けとめる際にも、職場を挙げて皆で取り組む姿勢が伺えることでしょう。その中で皆さんも精一杯自分の力を発揮してみる、そして得られる「きづき」は就職活動への大きなアドバンテージにもなっていきます。
一方で皆さんが「企業選びの軸」を整えていくためには、就業体験の受入れ先企業では何を見てくればよいのでしょうか…例えば一般的に「職場環境・社風や雰囲気・福利厚生」などを中心に見ていた人であっても、リアルな対面型就業体験だからこそ「見てくる・感じてくる・掴んでくるべきポイント」を3つ挙げてみましょう。
▶「人の魅力」
職場環境そのものの比較よりも、そこで働く人たちの人間味(温かさや誠実さ)を感じ取る
▶「経営者の考え方、商品やサービスへのこだわり、社会貢献」
クライアント(顧客・利用者)に対して自信を持って提供しているモノ・サービスやこだわりの姿勢
またクライアントを通じて叶える社会貢献、そこに自分の想いを重ねられるか(共感)
▶「成長できる土壌か、育てる熱意を感じるか」
居心地の良さより「自分の成長」が期待できるかに主軸を置いてみる
人の可能性に応えて「本気で育てる」姿勢を持っている職場か
「自分に合う仕事」「長く働き続けられる職場」とは、実は企業規模や社内制度の充実だけではありません。そこで働く人たちとの関わりや社会貢献の実感などが大切な要素になることを、是非体験から学んで来てください。
■“ミスマッチ回避”のためにも
就業体験と採用が直結してきた目的の一つには「ミスマッチの回避」があります。例えば大卒3年以内の離職率は「2020年卒で32.3%」となり、過去10年間はほぼ高止まり状態です(下記グラフ参照)。そして2020年から始まったコロナ禍ではオンライン就活が中心、まさに実体験不足となり職場定着への影響も懸念されています。「ミスマッチ」は企業にとっても就活生にとっても、大きなダメージとなります。今こそ働くリアルを掴む就業体験にしっかりと臨んでください。
■知らなかった様々な「就労観」に触れてくる
皆さんの目の前には、今、多様な社会経験を積むチャンスが大きく開かれています。そこでもう一つだけ今回の就業体験を通じて感じて来て欲しいことがあります!
人生100年時代、職場には様々なキャリアを経た人たちが、それぞれの想い(就労観)を持って働いています。
例えば…
30代には30代で欲しいものがあり
40代には40代で実現したいことが出てきます
50代になって追いかける夢や
60代での働く価値もあります
学生時代の今、自分が知らなかった様々な「就労観」に触れていくことは本当に大切なことなのです。仕事選び・働く意味・欲しいもの…就職活動に向かって大きな刺激を受けて来てください。