コラム
よく耳にする「求人倍率」、それは求職者1人に対していくつの求人があるのかを表す数値のこと。2025年卒業予定の方の求人倍率は「1.75倍」(出典:(株)リクルート第41回 ワークス大卒求人倍率調査/2025年卒)。学生1人に対して1.75の企業求人があるということで、これが就活する側が有利とされる「売り手市場」と言われるゆえんです。メディアから発信される「売り手市場、売り手市場!」の言葉一つで、皆さんの気持ちには大きな安心感が芽生えていくものです。今回はこの「求人倍率」という数字に焦点を当てて、現状を詳しく解説していくことにしましょう。
■数字はあくまで「平均値」
まずは下に表記するグラフをよく見てください。これは企業の規模による新卒求人倍率の違いを過去15年に渡ってグラフ化したものです。
青色の線は「従業員300人未満の企業の求人倍率、赤色の線は「従業員5000人以上の企業の求人倍率の推移です。最初に記載した通り2025年卒業予定者の求人倍率は「1.75」、しかしこれはあくまでも全体の平均値。実は企業規模によって大きな開きと変化があることが一目瞭然ですよね。
☑ 従業員300人未満の企業の求人倍率=「6.50」
▶ 学生1人当たり「6.5社の求人」
☑ 従業員5000人以上の企業の求人倍率=「0.34」
▶ 学生1人当たり「0.34社の求人」
またこれまでの大手企業の採用は「新卒定期採用」が軸となっていたために、毎年大きな変動は見られず、常に学生2~3人で1つの席を競い合う状況となっていることも見えてくるでしょう。
■どうなる⁉ 過渡期を迎えた新卒採用
昨年度からは「三省合意(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)」によって、「就業型インターンシップを通じての採用」が本格的にスタートしています。現4年生(2025年卒業予定者)は3年夏からのインターンシップが内定結果に少なからず影響を及ぼしてきたことを、実感しているところだと思います。
さらに2023年11月、「経団連」から次のような発言も飛び込んできました。
“経団連は新卒学生の採用方法について「通年採用」や職務内容を明確にした「ジョブ型」の導入を増やすよう会員企業に求める。2024年の賃上げや人材活用に関する経団連の方針に盛り込む。帰国した留学生など多様な人材に門戸を開き、キャリア形成の選択肢を広げる。”(出典:2023年11月6日「日本経済新聞」より抜粋)
こうして過渡期を迎えた日本の新卒採用。今、リアルな職場体験を通じての就活が求められています。
~選ぶか、選ばれるか~
「売り手市場」と騒がれる中であっても、内定通知は決してゴールではなく「社会の入場券」。思い通りの仕事でイキイキ働く未来のために、まず一歩動き出すことをお薦めします。過去のイメージにとらわれず、視野を拡げて「知らなかった業界・知らなかった企業・知らなかった仕事」を是非見つけに来てください。